世界の技術を支配するベル研究所の興亡
みなさん、「ベル研究所」ってご存知ですか?
(実は自分は恥ずかしながら、私はこの本を読むまでその存在は知りませんでした。)
「ベル研究所」というのは、旧AT&T (正式な旧社名は The American Telephone & Telegraph Company, 母体は、電話の発明で知られているグラハム・ベルが1877年に設立したベル電話会社。現在の社名は AT&T Inc. 以下、単に AT&Tと表記)が アメリカで世界初の長距離電話会社として発足し、独占電話事業を展開していた頃、AT&Tの研究開発を支援する為に設立された研究所です。
この研究所の源流は1883年に設立されたAT&Tの機械部門で、その後1925年に 当時のAT& Tと AT&T の設備技術開発を行っていたウェスタン・エレクトリックが折半出資し、独立会社「ベル電話研究所」を発足させたのです。
AT&T は、1906年頃「ユニバーサル・コネクティビティ」という概念を提唱し、「一つの政策、一つのシステム、ユニバーサル・サービス (One Policy, One System, Universal Service)」という標題を掲げました。要するに「世界中どこにいても、いつでも、誰とでも話せるようなシステム」を構築しようとしたのです。
(もちろん、当時はまだ、通信における「ネットワーク」とか「インターネット」とかいう「概念」は存在していません。)
それから約70年以上の歳月を要し、銅線ケーブル、マイクロ波中継装置、グラスファイバーやらを組み合わせ通信ネットワークが世界の至る所で敷設され、音声、画像、データを送受信できるシステムが構築されていきますが、その功績はこの「ベル研究所」によるところが大きいのです。
以下、簡単にベル研究所で発明、開発等功績を列挙します。
*今日の携帯電話システムの原型となったセル式移動体通信網の発明
(ちなみに、アメリカでは携帯電話をセルラーフォン(cellular phone)といいますがそのセル(cell) はここから来ているようです。)
*トランジスタの発明 (パソコン、タブレットを動かすIT産業界における大発明)
*GPSを可能にした通信衛星開発
*デジタル情報理論(今日の全ての情報処理、伝達の基になった)(すべての情報は「0」と「1」の記号に置き換えることで伝達可能になるという理論)
*太平洋戦争で日本を破ることになったレーダーの開発(相手の位置を特定する)
*アメリカ全土の電器通信網
*電話通信に必要な海底ケーブル開発
*ノーベル賞受賞者の輩出
などなど。。。
特にトランジスタの発明に関しては、ビル・ゲイツ氏も相当の関心があったようで、かつて「タイムマシンに乗ることがあったら、最初に降りるのは 1947年12月のベル研究所だ。」と語ったそうです。(ちなみに、ベル研究所のトランジスタ公式発明日が1947年12月23日)
うーん。。アメリカの知的産業の歴史からみると今をときめく「GAFA」なんかの超巨大IT企業も、もしかしたらこの「ベル研究所」あたりが源流なのでは、、、と思います。
(でも、それをもっと突き詰めると、電話を発明し、AT&Tの基になった会社を設立したグラハム・ベル、さらにトーマス・エジソン等、当時の発明家&起業家 を生み出したアメリカという国家の文化的土壌へいきつくのかもしれません。)
ところでもし、日本で同じような研究所があるとしたら (あったとしたら) NTTあたりが設置する(すべきだった?)研究所あたりなんでしょうか。。? (どなたか、日本の発明や技術的イノベーションに詳しい方、御教示お願いします!)
この本を読むと発明や技術イノベーションに関してはアメリカは日本の遥か先を行っていることを痛感させられます。。。
では、最後にクイズです!(日本では、たまに「製薬会社やメーカーの研究社員が何かを発明すると、その発明の対価はいくらが妥当か?」なんてマスコミが騒ぎますが、、、)
この「ベル研究所での発明の対価はいくらだったでしょうか??」
答えはたったの「1ドル」です。
実は、当時のベル研究所では、研修期間中に新入社員は「将来的に自分が取得する特許に関わる全ての権利を研究所に譲渡するよう」求められたのです。
そして、その書類の署名と引き換えにまっさらな1ドル札が渡されたのです。。。
映画好きな自分としては、いつかハリウッドで、このベル研究所を題材に映画をつくって欲しいと思います。絶対、オスカー候補間違いないですね !
(誰もつくらないなら、いつか自分が権利買ってプロデューサー&監督やりたいです ! どなか一緒に作りませんか~! 主役の研究者は、、うーん、、ジョージ・クルーニーさん?ラッセル・クロウさん? あたりですかねえ。。。)
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