ロボットの脅威 - 人の仕事がなくなる日

 アメリカの三大ネットワークの一つ、CBSのインタビューの質問 「アメリカの差し迫った失業問題は近々改善するか?」にアメリカ大統領は「魔法の解決策はない」と答えた。 更に「現状にとどまるためにさえ、我々は必死に速く走らねばならない」と言葉を続けた。  

 そして大統領は、経済を刺激する為に減税を提案、教育問題に言及し、とりわけ「職業教育」「職業再訓練」に特化したプログラムへの支援を強く訴えた。「問題は一人でに解決しない。。。。労働市場に参入してくる人々はあまりに多く、人間を追いやろうとする機械はあまりに多い。。。」        

 。。と、ここまで書くと、この会話は現アメリカ大統領、トランプ氏の言葉のようです。 でも驚くなかれこの言葉を語ったのはケネディ大統領(1963.9.2)です!

それ以降半世紀が過ぎても教育が失業と貧困の普遍的な解決策になるという認識は(どこの国の政府においても基本は)変わっていません。 (というか進歩していません。)       

(そしてここからが著者が力説するところですが、、)一方、機械によるイノベーションが近年では破壊的になりつつあり、確実に労働者の雇用を奪っていて、大量の失業、所得格差の一層の拡大をもたらす、と警告しています。

その現象は、社会的な経済の好不調や、グローバリゼーション等の問題と重なり、短期間では見えにくいが、長期間で見ると確実に我々の社会に大きな影響を与え、確実に変革している。その結果、近年失業や所得格差の問題が顕著になってきている、というのが著者の考えです 。   

 従来からの経済学者の機械のイノベーションに関する見方は、 「 イノベーションにより 、一時的には雇用は奪われるが、そのイノベーションが新しい市場を生み出し、結果として多くの雇用が生み出され、労働者の賃金も上昇し、経済が成長する。」という肯定的なものでした。        

 しかし、最近の機械(AI含めた)の指数関数的進歩のため、いつか近い未来に、この「イノベーションによる経済成長原則」が通じなくなる日が来るのかもしれません。        

 日本の場合はこれから人口減少に転じるので、ある程度の機械を導入したイノベーションを導入し、生産年齢人口層の不足を補わなくてはなりませんが 、 現在、台頭著しいAIの進化などを考えると、いつか日本もアメリカと同様、機械により仕事が奪われる状況が発生する不安を覚えます。(みなさん!どんな仕事でも自ら考えながらやりましょう!指示待ち君、指示待ちさんは過去のものです。いつか、機械に雇用奪われますっ!)        

 人工知能やロボットの台頭によってこれからの社会がどう変わっていくのか、経済や雇用、自分たちの生活にどのように影響を与えていくのか知りたい人々にとってお勧めの本です。

Hisanari Bunko

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